障害者と健常者の垣根を取っ払いたい!
2019年10月5日、所沢市立障害者福祉施設で行われる”プロペラ祭り”にて車いすソシアルダンスを発表。
マスザワソシアルダンススクールは、「車いすソシアルダンス」を進化させ、重度障碍者の体と脳の活性化、さらに健常者とのコミュニケーションを提案しています。
「車いすソシアルダンス」は、車椅子またはベッド型車椅子を必要としている方が誰でも参加可能です。体になるべく負荷をかけずに、また曲に合わせて踊るという素晴らしい可能性に満ちたリクリエーションです。
「車いすソシアルダンス」進展への想い
私は東京都東村山市で社交ダンス教室の経営、ダンス指導、プレミアディヴィジョン資格公認審判員をしておりますマスザワソシアルダンススクール代表 増澤克宣(ますざわかつよし)と申します。プロフェッショナルスタンダードA級資格を取得、スクールを開校して20年になります。「車いすソシアルダンス」への挑戦は、身体の自由がきかない生活全般に車椅子を必要としている方の可能性を見出し、共に楽しみ、喜ぶ顔が見たい、そして家族のかたにも一緒に喜びを分かち合い幸せを感じてもらいたい」という思いが原点です。
車椅子の方と健常者と垣根を取っ払う社交ダンスのステップなどを抜粋・簡略化し新たなステップを考案し、曲にもこだわりを持ち、馴染みが深く、リズムを取りやすい曲を選択しました。
2012年6月に始めて以来、現在まで約7年間、大変貴重で充実した体験を障害者及び携わる多くの方々と共に過ごせましたことを感謝しております。最初は重度の障碍者の方に教えても理解されるかどうか、半信半疑でありましたが、初日に「これはいける!」と確信しました。今も常に可能性を探りながら、この活動を多くの方に広めようと意欲的に活動しております。
新規考案のきっかけ
現在広く行われております車いすダンスは、障がい者の方のためではなく、ほぼ100%近く健常者の方がレクリエーションで車椅子を使用するダンスであり、障がい者向けのダンスではないのが現状です。当初、教え子の紹介で車椅子ダンスの活動に興味を持ち、少人数の障がい者の方や健常者の車いすダンス愛好家の方のためステップを発案するなどがんばりましたが、車いすソシアルダンスは、更に発展して身体の不自由な障がいを持つ方々のために生かせると考え、身体や脳の活動にアプローチできる方法を模索し企画しました。
開催の背景と動機
偶然、その頃、別の方から知り合いのお子様が「東京都新宿区立あゆみの家」という生活介護施設で介護を受けている関係で紹介され訪ねたところ「ぜひ試してみたい」と言われ、まず体験レッスンから始め、徐々に形ができ、その年、「あゆみ祭」にて車いすソシアルダンス発表に至りました。「あゆみの家」にて3年活動し、現在は場所を所沢市に移し今に至っております。
生活介護施設2箇所の成功により、さらにこの活動を世に広め、多くの重い障害を持つ方とご家族そして関係者の方々の喜ぶ顔を見たい、そしてこと活動を通して、重い障害を持つ方の希望と可能性を見出し素晴らしい未来につなげて行けたらと期待しております。
社会的ニーズと車いすソシアルダンス開発の根拠
障害を持つ方、特に重度の方がその偏見のために公共の場に姿を見せずにいる社会は健全とは思えません。身障者は、生活、楽しみ、コミュニケーション等、すべてに制限があります。生活に関しましてはバリアフリー等、改善の余地がたくさんあります。心のケアや人々とのつながりにはとてもデリケートな問題が山積みであるからこそ、車いすソシアルダンスは社会的課題への取り組みとして活かされる活動だと言えます。車いすソシアルダンスをレッスンするべく施設を訪ねて行くと、利用者さん(障がい者の方)との信頼関係が生まれ私どもの到着をドアのところで気持ちを込めて迎えてくれたり、また車いすソシアルダンスを発表した後、嬉しくて涙を流したり、からだ全体で喜びを表現する利用者さんもいらっしゃるので大変驚きました。
この活動を日本全国、さらに世界に向けて発信していきたく思っております。私どもの発案しました車椅子に座っているまたベット型の車椅子に乗っているだけで可能なレクリエーションであり、メディカルメソッドそしてコミュニケーションツールでもあります。日本中、世界中の重度障がい者の方々の明るい未来を心から願い応援します。
体験談
私の両親は、社交ダンスを通じて出会い、結婚しました。母は父とダンスを踊ることが大好きでしたので、いつか自分の娘とも一緒に真剣に習いたいと思っていたそうです。しかし姉と私が物心がついた頃に母が難病を発症してしまい、家族全員が日々介護と仕事に追われ、ダンスとは程遠い生活になってしまいました。そして何十年もの闘病生活の間、一度も踊ることがないまま若くして他界してしまいました。その後、私は社交ダンスを習うようになり、増澤先生とご縁があり、そこで初めて車いすソシアルダンスを知りました。障がい者の方やそのご家族の方、施設の方々と一緒にダンスを踊ることができる喜びと感動を分かち合える幸せを教えていただきました。
一般的な車いすダンスとは違い、どんな形でも出来るようにと増澤先生が生み出されたステップは、一緒に踊れる楽しさをわかってもらえると思います。母にしてあげられなかった車いすソシアルダンス・・・。あの時知っていたらと思うと、今でも悲しくなる時がありますが、これからはたくさんの方々の生きる力や幸せになることを願って、皆さんと一緒に踊りたいと思っています。







